社内の複数機器で1つのIPを使うNAT

NATは、社内などで使うプライベートIPアドレスを、インターネット向けのグローバルIPアドレスに変換して通信を橋渡しする仕組みです。

NAT(Network Address Translation)は、社内や家庭だけで通じるプライベートIPアドレスを、インターネット向けのグローバルIPアドレスに変換して通信を取り次ぐ仕組みです。家庭やオフィスで、何台ものパソコンやスマートフォンが1本の回線からネットにつながれるのは、このおかげです。

マンションの管理人室を思い浮かべてください。住人は部屋番号だけで暮らしていて、外へ出す郵便は管理人室が建物の代表住所に付け替えて送り出します。返事が届いたら、管理人室が控えを見て正しい部屋へ渡す。ネットワークでも、インターネットへ出るときにルーターが代表のグローバルIPアドレスへ付け替えて送り、戻ってきた通信を対応表から元の機器へ届けます。

実際には、多くの家庭用ルーターは住所と一緒にポート番号も付け替えていて、それによって1つのグローバルIPアドレスを複数の機器で分け合えています。契約するグローバルIPアドレスの数を節約できるのも、このためです。

外から部屋へ直接は届かない

管理人室は、住人が出した郵便への返事なら正しい部屋へ回せます。でも、外から突然届いた「代表住所」宛ての郵便は、どの部屋へ渡せばよいか分かりません。

NATの内側にある機器へ外部から直接つなぎたいときに、ポート開放などの追加設定が必要になるのはこのためです。一部のオンラインゲームやビデオ通話がNATの種類によってつながりにくくなるのも、同じ理由から来ています。

管理人室の控え(変換の対応表)には上限があり、同時接続が多すぎると通信が不安定になることもあります。ネットワーク構成を変えるときは、NATの設定も一緒に見直しましょう。

「見えにくい」は「守っている」ではない

外から部屋番号が見えないので、NATには社内のアドレスを外部から見えにくくする効果があります。ただ、それ自体は不正アクセスを防ぐための機能ではありません。管理人室は郵便を仕分けているだけで、不審物を検査しているわけではないのです。侵入への対策には、ファイアウォールなどを別に組み合わせます。

通信の中身を暗号化するわけでもありません。暗号化して届けるのはVPNなどの仕事です。